• 小宮山剛

色彩が多めのサン・ジョルディの日にぼくはちょっとブルー

社会情勢はまったく治まる気配のない4月の終わり、今年も4月23日がやってきます。


4月23日・・・。たとえばこのブログが「クリエイティブ司書」のものでないとしたら、その日付にはいろいろな意味あいを込めることができるのかもしれません。あるいは「あの初恋の訪れた日」だとか、「恋は裏切りの副産物であると知った日」であるとか、もしくは「最後の恋のはじめかた」とか、そんな意味あいを含ませることができるのかもしれません。


4月23日。世間では、いくつかの「今日は何の日」が設定されているようです。


たとえば「地ビールの日」。これは最高ですね。日本地ビール協会を中心とする「地ビールの日選考委員会」が1999年に制定し、2000年から実施されています。その由縁は、1516年の同日程にバイエルン国王ウィルヘルム4世が「ビール純粋令」を発布したことなんだとか。グビグビイッチャウ!?


・・・ところでコロナ禍のなか飲み会がなく日々部屋で過ごすことが続いていますと「酒を飲まなければいかに身体が楽か」ということに気づかされます。肝臓が、本当に弱っているんですね・・・。はたらく環境が変わり(喫煙所が遠くなった)紙煙草をやめたことですし、この際アルコールもやめてしまいたいな、なんて、途方もない夢を抱いたりもするのです。だってこのところ読書ははかどるし映画だって観られるし、新しく書きたくなった長文についても上手くまとまりそうなんだもの・・・。


ちなみに4月23日は「し(4)じみ(23)」、というわけで「しじみの日」でもあるそうです。オルニチン補給にもってこいの日。



・・・えっと、何の話でしたっけ?


そうでした、ここはクリエイティブ司書のブログ。椎葉村図書館ぶん文Bunにつながる系譜をたどるブログなのでした。


その文脈でいえば、ここがスペインでなく日本であろうとも、たとえ誰がなんと言おうとも、4月23日は「サン・ジョルディ(Sant Jordi)の日」でしかありえないのです。


サン・ジョルディの日については「スペイン・カタルーニャの伝統的なお祭り、『サン・ジョルディの日』を日本に紹介することを主たる目的に、1985年に発足しました」と豪語する「日本・カタルーニャ友好親善協会」さんから詳しく紹介されています。4月23日というのは、サン・ジョルディがカッパドキアの地に倒れた日だということです(この辺はまた後で詳しく)。


「すごく雑な説明」をするとサン・ジョルディの日とは、男性から女性へ薔薇の華を贈り、女性から男性へは本を贈る、そんな素敵なカタルーニャ伝統の日だそうです。


カタルーニャといえばバルセロナ。僕の記憶のなかで、それはガウディでありピカソであり、ロナウジーニョなのです。食べて、祈って、恋をして。そんな街です・・・。


あふれるタパス。バールで客たちの足元に散らばるタパスの残骸。酔い際のカリモーチョ。三次元の向こう側としてのキュビスム。夕暮れのスルレアリスム。セルベッサ、カリモーチョ、そしてオルホ、シェリー酒。美食の街・・・。憎き、バルセロナ・フットボールクラブ。


サン・ジョルディの日のバルセロナは、本や花の市で大変賑わうのだとか。神保町の古本まつりとどっちが凄いんだろう・・・。見比べてみたいものです。べつに、男が自分で本を買ったっていいんじゃないだろうか。女が自分で本を買ったっていいんじゃないだろうか。誰しもがサン・ジョルディの日これ幸いとばかりに本をむさぼったっていいんじゃないだろうか。知らんけど・・・。



・・・そんなこんなで「サン・ジョルディ」って誰なんだろうか?


「Sant」というところから守護聖人ということはわかるのですが「ジョルディ」と言われてもなんだかピンときません。大学の頃の西班牙語の先生がジョルディ先生だったな・・・、今も元気かな・・・とか、そんな闇雲なことしか思いうかばないのです。


先の日本・カタルーニャ友好親善協会」によれば、サン・ジョルディには龍退治の逸話があるのだとか。「サン・ジョルディ」が龍を倒しある国の少女を救う・・・あれ、なんかどこかで聞いたことあるような・・・。


ある程度英語を楽しんだ人であれば「聖人」と「龍退治」から「セント・ジョージ」を思い浮かべられることでしょう。さらにいくつかの欧州言語に親しんだことがあれば、その英語表記「George」から「ゲオルギオス(Georgios)」に至り、欧州各所で守護聖人として崇め親しまれている聖人こそ「サン・ジョルディ」であると理解できるでしょう。


色んな言語の「サン・ジョルディ」

Wikipediaページ「聖ゲオルギオス」


・古代ギリシア語 - ゲオルギオス Γεώργιος(現代ギリシア語ではイェオルイオスとも転写し得る。ヨルゴス Giorgosはこの変形) ・古典アラビア語 - ジルジス جرجس ・イタリア語 - ジョルジョ Giorgio ・英語 - ジョージ George ・スペイン語 - ホルヘ Jorge ・カタルーニャ語 - ジョルディ Jordi ・ドイツ語 - ゲオルク Georg(イェルク Jerg, Jörg やユルゲン Jürgenはこの変形) ・フランス語 - ジョルジュ Georges ・ラテン語 - ゲオルギウス Georgius ・ロシア語 - ゲオルギー Георгий(ユーリイはこの変形) ・リトアニア語 - ユルギス Jurgis ・グルジア語 - ギオルギ გიორგი


・・・しかし面白いのは、英語でいう「George」はスペイン語で「Jorge(ホルヘ)」なのですが、なぜスペイン国内の(あるいは「と、世界では認知されている」)カタルーニャでは「Jordi(スペイン語よみするなら、ホルディ)」なのか、ということです。このあたりはスペイン語乃至スペイン文化を通史的に学ぶことで、スペイン王立政権の樹立とカタルーニャの独立気風の醸成という文脈をもって知ることができるでしょう。それと同時に、なぜレアル・マドリードとバルセロナの一戦が「El Clasico(クラシコ)」と呼ばれ白熱するのか・・・ということも解っちゃいます。


だいたいのところ、スペインの守護聖人といえばサンティアゴ・デ・コンポステッラに祀られる聖ヤコブ(Jacob)なわけです。小宮山は世界史のなかでもスペイン史がもっとも好きだったのですが、こういう断絶と融和の連続(レコンキスタに例をとれば突出した地域であることは一目瞭然)こそ、まさにストーリーとしてのヒストリーを学ぶ醍醐味なのです。



・・・あぁ、なんでこんなにも尺を割いて僕はスペインのことを語っているんだろう・・・。今日の本筋は「サン・ジョルディの日だから最近読んだ本を紹介しちゃうぞ☆」だったはずなのに。もとい、最近投稿した「BookCoverChallenge」7選の説明をしようとしていたのに・・・。


落ち込んでいても仕方ないので、今日は一冊だけ、あの話題本をようやく読みましたのでその感想を書いておきます。レファレンスサービスに寄せられる「あの本ありますか?」のなかで、たぶん『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』よりもヘンテコな問い合わせが多いであろうあの一冊・・・。これから司書としてはたらき出す身としては、その紛らわしい問い合わせ集を一度チェックしておきたいものです。


ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

「え?ぼくはイエローでブルーで、ホワイトな君?」というような、タイトルの真意をはかりかねるまま覚えようとしても全然要領を得ないこの本。ただ、一読すればきっとこのタイトルの意味もわかるし、すんなりと覚えられることでしょう。今ではすっと書くことができます。『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとグリーン』。


・・・ちなみに僕はブクログの感想で、こんなことを書いていました。



・・・そうなんですよね。なんというか、Twitterなどでは「爽快な読後感!」みたいな感想を多くみていたのですが、僕の読後感としては「愛しさと切なさとこころづy・・・」じゃない、「仕方なさとしょうもなさと、やるせなさと」という感じでした。


とくにこの社会情勢下、「差別」「欺瞞」「批判」「糾弾」「忖度」とかそういう負のオーラもりもりな言葉がワールドワイドに飛び交うなかでこの一冊を手に取ると、なんだかブルーにならずにはいられませんでした。


「子どもたちのために」という意見も多くみられた作品でしたが、これを読んだ後の子どもたちと真剣に、覚悟をもって語り合うつもりでない場合は、やすやすと「ほいこれ読みな」なんて勧めることはできない本だと思います。


そしてある意味では、こういう「シビアに見えないけれどシビアな核心を内包している本」を、責任と覚悟をもち然るべき読者とわかち合えることこそ、僕たちに必要とされるスキルではないだろうかとも考えられます。


僕たち、図書館司書に。



クリエイティブ司書、4月22日の晩御飯

なんだか辛気臭いハナシで終わりそうなので、今日の晩御飯画像を貼っておきます。レタスは、椎葉村栂尾地区でとれたというシャキシャキ・・・いや、レタスという概念を覆さんばかりのボリボリシッカリ甘味レタス!


とてもお安くゆずっていただきましたので、本日は塩で味付けしたスクランブゥ・エッグと共にいただきました。


う~ん、味がぴしゃっとついとぉ~~~!




・・・はい。終わりです。


そんなわけで間もなく4月23日!サン・ジョルディの日には、皆さまのもとに素敵な本との出会いが訪れますように。


セレンディピティを、あなたに!

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