• 小宮山剛

しろくまのパンツはあたたかい。

下記記事は、小宮山剛のnote記事から引用したものです。



こんにちは、クリエイティブ司書の小宮山です。今日は椎葉村図書館「ぶん文Bun」で起きたとてもあたたかい出来事をご紹介します。


最初に申し上げておきたいのですが、この記事は「しろくまさんのパンツが無くなったから版元に発注して新しいのが届きました。パンツはけて嬉しそうなしろくまさんをアップしたらバズっちゃうぞ!」・・・というようなものではありません。


今回の出来事には、そんなビジネスライクでマーケティングライクなオトナの発想ではなく「本にかかわるひとびと」のあたたかい思いが詰まっているのです。わたくしはこの記事を通じて「出版・図書業界の人、よくないですか?やさしくてかっこよくないですか?」ということを広くお伝えし、いつかは僕もそんな人になりたいと強く願っているのです。


きっかけは、我が館に住まう傲岸不遜のキャラクターである日本ミツバチの「コハチロー」が珍しく優しさを見せたこちらのツイートでした。



さりげなく「ぴえん」などともう流行っちゃいないようなワードを盛り込みつつ、しろくまさんへの気遣いを見せるコハチロー。わたくし、クリエイティブ司書へのアタリとは大違いです。



・・・それにしても、たしかにこの『しろくまのパンツ』の帯パンツは破れやすく、その替えをユーモアあふれるかたちで提供されているブロンズ新社さんは本当にあっぱれです。また、こういう情報をツイートしてくれた「うささ」(@usasa21)さんもあっぱれあっぱれですね!


さてこの度、そんな「替えパンツ」のことを心配していたコハチローのもとに・・・。


と、届きました!


しかしこれ、私が椎葉村図書館「ぶん文Bun」としてブロンズ新社さんに発注したものではないんです。もちろん個人的に小宮山剛として発注したものでもありません。「覚えがない」んです。しかも、あて先が「コハチロー」になっています。


宅配便を受け取ったスタッフから発送者を聞いて封筒の裏側を見た私はビックリ。お送りいただいたのは、なんとぶん文Bunの図書装備(←詳しくはのちほど)などを担当してくださったナカバヤシさんだというのです。


版元(出版社=ブロンズ新社さん)ではないナカバヤシさんがパンツ帯を送ってくれるということは、経費で買ってくれたのかな・・・?それってどういう費目で・・・?と、わたくしの疑問は深まるばかり。


とりあえずのところ、しろくまさんの寒さを心配していたコハチローを呼びつけ開封の儀。




開封場所は『しろくまのパンツ』ほかtupera tuperaさんの大型絵本が詰まっている児童向け本棚個室にて・・・。コハチローは物理的、サイズ感的、大人の事情によりぬいぐるみ版でお届けしております。本蜂はしっかり見守っていますよ!



得意げなコハチローと、わくわくしているしろくまさん。楽しみだね。




ほ、ほんとうにしろくまさんの赤パンツが入っていたよ!


『おばけだじょ』の表紙がいい感じにわたくしのビックリ感を表しています笑。コハチロー、はやくはかせてあげてね。




しろくまさんにパンツをはいてもらい、改めて記念撮影。コハチローもパンツはいてみたら?



今回の一件、コハチローもやはりわたくしが「うらで てを まわした」と勘ぐっていますね。



しかしその答えは、荷物の中にあったナカバヤシ装備担当の方のお手紙にありました。写真を掲載するとともに、引用させていただきます。


コハチローさま しろくまさんのパンツ、お送りします。 装備時に帯と同じ扱いではずしたのですが、 廃棄するにしのびなくて保管しておりました。 ブックコートの上からでもはけるといいのですが。 しろくまさんには、寒い思いをさせてごめんなさい、 とお伝えください。  ナカバヤシ 装備作業担当

・・・解説を加えましょう。ナカバヤシさんが言う「装備」とは、ぶん文Bunに納品する図書の保護フィルム貼りやバーコード貼りのこと。ぶん文Bunのバーコードはナカバヤシさんが特別につくっている「LENコード」という特殊な二次元コードなのですが、その話は長くなるのでぶん文Bunのウェブページをご覧ください・・・。


ナカバヤシさんがぶん文Bunに納品する図書の装備をしてくれていたのは2020年度のことなので、このしろくまさんパンツはおそらく一年くらいの間ナカバヤシさんの装備担当の方のお手元にあったことになります。


すごくないですか!?ぶん文Bunとの取り決め上、本の帯はフツーに処分してしまうものなんです。当然のごとく、しろくまさんのパンツも「帯」なので捨てられてしまったものと思っていました。それを「廃棄するにしのびなくて」という理由で、数ある担当図書館のうち一館にすぎない椎葉の図書館の一冊の本の帯を、大切に大切にとっていてくれたのです。


僕はてっきり、ナカバヤシさんからしろくまさんのパンツが届いたと聞いたとき「コハチローのツイートを見て広告マーケティング的に帯送ったら面白いと思ってくれたのかな。のってみるか」くらいの浅はかな考えでいたのです。恥ずかしいかぎりです。


僕が思っているよりも、出版業界の、図書館業界のひとびとは「あたたかい」ということなのだと思います。


ナカバヤシさんの装備担当の方がしろくまさんのパンツを廃棄するに「しのびない」と思ったのは、パンツ帯という仕掛けにユーモアをもたせた良い絵本をつくったブロンズ新社さんの、その担当の方の(そしてもちろんtupera tuperaさんの)あたたかさのおかげです。


そして今僕にこのような記事を書かせているのは、ナカバヤシさんの装備担当の方のあたたかさです。


「普通の事を普通に終わらせない」


それっていかなる業界のビジネスマンにとっても大事なことだと思うし、生きていくうえで幸せの総量をグンと増やしてくれる要素だと思います。それはきっと「何でもない日にさらっとプレゼントを贈る」とか「落ち込んでいるらしい人をさりげなく元気づける」だとかそういう類の、小さな小さな心遣いのひとつなのでしょう。


おかげ様で、極寒の山村に住むしろくまさんもあたたかそうな顔になりました。それはもう間違いなく、あたたかそうな顔に変わりました。


たった一冊の本のたったひとつの帯(ぱんつ)。それをめぐって、版元から図書館業界の装備会社から、そして図書館司書まであたたかさが巡っていきました。そんな小さな心遣い、かっこよくないですか?「本にかかわる人」かっこいいでしょう?


僕は、こういう心遣いができる人々はきっとどんな業界でも、どんな人生でもあたたかいし、活躍できるのだと思います。


そして図書館という場には、本の数だけストーリーがあります。今回はしろくまさんのパンツというあったかストーリーでしたが、きっとこんなお話がたくさんたくさんあるんだと思います。


このあたたかさを、この業界にかかわる人のかっこよさを伝えたい!そんなこの記事の思いをお汲み取りいただければ幸いです。


・・・


ちなみに「こういう素敵なお話がありますよ!」という例をお持ちでしたら、ぜひ小宮山剛(図書館司書一年目・クリエイティブ司書)まで下記記載の各種SNSなどを通じて教えてくださるとうれしいです。たくさん、勉強させていただきます。



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